骨折・脱臼・突き指の改善
骨折・脱臼・突き指の概要と症状、セルフチェック、原因とメカニズム、放置するリスク、ビフォーアフターについてまとめています。
骨折・脱臼・突き指とは?概要と症状
骨折
骨折とは、外力によって骨の連動性が断たれた状態を指します。
ドアに指を挟んだ時に、骨が折れた状態やヒビが入っている状態です。
骨が完全に折れた状態では折れた端と端が、曲がったり、ねじれたり、潰れたりと外力のかかり方によって折れた骨の端のズレ方が異なります。
このズレを転位と呼び、転位のない場合はヒビもしくは不全骨折と呼ぶことが多いです。
骨折には、「外傷性骨折」「病的骨折」「疲労性骨折」の3つの種類があります。
そして、骨折で怖いのは合併症です。
骨折を起こした箇所と皮膚とが交通していて繋がっている場合、皮膚壊死・感染・骨癒合不全などが多く、手術になるのかギプスなどの固定だけで済むのかは、骨折の部位・骨の転位の状況・骨折を起こした周りの状況で大きく変わります。
脱臼
脱臼とは、外力によって関節の連動性が断たれた状態を指します。
骨と骨とが繋がっている部位を関節と言いますが、その関節が外れている状態を脱臼と呼び、本来の位置から少しでもずれた状態を亞脱臼と呼びます。
脱臼を起こしてしまう原因は3つあり、外傷性脱臼・病的脱臼・先天性脱臼です。
脱臼は全ての関節で起きますが、よく脱臼を起こしやすい箇所もあり、肩・肘・顎・股関節・肩鎖関節です。
この中で肩の脱臼は、繰り返し脱臼してしまう反復性脱臼になりやいので、処置には注意が必要です。
突き指
突き指とは、球技でボールが指先に当たった状態や、家の中に虫が入ってしまい退治しようとして咄嗟に手をだしたら家具に指をついてしまうなど、指先に大きく外力が加わる状態を指します。
皆さんは突き指の診断名を聞くと軽症だと判断される方が多いと思いますが、突き指は指先に起きたケガの総称を表します。
突き指の中には、骨折や脱臼が隠れていることも少なくないため、決して軽症と判断してはいけません。
骨折・脱臼・突き指のセルフチェック
● 怪我をした患部が内出血している
● 怪我をした患部が変形している
● 怪我をした患部が通常時のように動かせない
骨折・脱臼・突き指の原因とメカニズム
骨折
外傷性骨折
骨に外から大きな力が加わり、骨の耐久力が外からの力に耐えられなくなった際に骨が折れる現象を外傷性骨折と呼びます。
代表的な原因は、転倒・転落・衝突・交通事故・スポーツ外傷です。
骨の耐久力よりも大きな力が加わることで骨折しやすくなります。
疲労性骨折
スポーツの練習で体の一部の部位に繰り返し力が加わり続ける状態や、作業仕事や現場仕事で一部の部位に繰り返し力が加わり続けると、骨の耐久力が徐々に耐えられなくなりヒビや完全に折れてしまう状態が疲労性骨折の原因です。
外傷性骨折との大きな違いは、骨折やヒビが見落とされるケースが多く、骨の状態が悪化していることも少なくありません。
病的骨折
骨粗鬆症や骨腫瘍などの病気が原因で、骨密度が低下して骨の内部がスポンジのようにスカスカになってしまい、骨が脆い状態になります。
骨が脆いと、よろめいて手を壁に着いた際に手首の骨の骨折や、くしゃみや咳を2~3回繰り返してしただけで、肋骨を骨折してしまうケースもあります。
更に、背骨の骨も脆くなり朝起きて立ち上がろうとした際に布団に尻もちをしてしまい、背骨を圧迫し圧迫骨折を引き起こすケースも多く見受けられます。
病院の検査で見落とされるケースも少なくないため、65歳以上の方は骨密度を定期的にチェックすることが大切です。
脱臼
外傷性脱臼
関節に外から大きな力が加わり、関節を繋ぐ組織(筋肉や靭帯などの軟部組織)が外からの力に耐えられなくなった際に関節が外れる事を外傷性脱臼と呼びます。
この外からの力の代表は、転倒・転落・交通事故・衝突・スポーツ外傷などです。この代表例の力が加わった際に、関節を繋ぐ組織(筋肉や靭帯などの軟部組織)の力よりも大きな力が加わる事が脱臼を起こしやすくするのです。
病的脱臼
病的脱臼は、幼少期の関節炎や骨髄炎などで関節の病的な変異が生じて、少しの外力もしくは日常生活の動作で脱臼してしまう状態になります。
病的脱臼には、「麻痺性脱臼」「拡張性脱臼」「破壊性脱臼」の3種類があります。
・麻痺性脱臼
麻痺性脱臼では、脳血管症障害、神経麻痺、脳性麻痺など、麻痺が原因で関節が支えられなくなり脱臼した状態になります。
・拡張性脱臼
拡張性脱臼では、幼少期の骨髄炎や関節炎、関節結核などが原因で、関節内に炎症が起こり、その関節に滲出液が溜まります。
滲出液がたまる事で、関節包が広がり関節が緩くなり脱臼してしまう状態になるのです。
・破壊性脱臼
破壊性脱臼の主な原因は、関節リウマチのよる事が挙げられます。
関節の関節面や関節包が破壊されて、正常な関節の状態が保てず脱臼します。
突き指
突き指の多くは、球技などでボールが直接指先に当たりなる事が多いと考えられますが、物に指をひっかけたり、重いドアに挟んだりする事でも発症します。
突き指の多くは軽視される事が多いのですが、中には骨折や脱臼が含まれているケースがあるため、突き指をしたら次の2つを確認してください。
【1】突き指を起こした際に、指の第一関節が変形していないかの確認をして下さい。
突き指を起こして第一関節だけが曲がっている状態は、指を伸ばす腱の断裂を起こしている可能性が高いです。
これを、腱性マレットフィンガーと呼びます。
【2】突き指を起こした際に、指の第一関節と手のひらに近い第三関節が変形していないかを確認してください。
突き指を起こして第一関節は曲がった状態と、第三関節が反った状態は、指を伸ばす腱の根元の骨を引き剥がし骨折している可能性があります。
これを、骨性マレットフィンガーと呼びます。
骨折・脱臼・突き指を放置するリスク
● 骨折を放置すると、骨の連動性が外れ動かなくなる可能性がある。
● 脱臼を放置すると、何度も脱臼を繰り返す可能性がある。
● 突き指を放置すると、変形したまま戻らない可能性がある。
骨折・脱臼・突き指のビフォーアフター
20代男性
大量のお酒を飲んで泥酔し、記憶がない状態で朝を迎えました。
起きると右肩が30度以上挙がらない状態で、お仕事が美容師なので肩が上がらないと仕事にならない状況でした。
肩の動きを診ると、不自然な動きで肩を挙げている為、過去に脱臼の経験がないかを確認すると、ないとの事でした。
しかし、どうしても気になり服を脱いで左右の肩の高さを診ると、若干右肩が短い事に気が付きました。
脱臼の整復動作をしてみると、肩の関節が入った音がなりました。
その後もう一度整復動作を加え、肩の周りをテーピングで固定したところ、左と同様の可動域になりました。
寝ている体勢が悪く肩関節が亞脱臼していたのです。
1週間後に受診してもらいましたが、日常生活や仕事に支障が出なくなったことを喜んでいらっしゃいました。
50代男性
柔道の練習で受け身に失敗し、左足の小指をついてしまいました。
本人は少し痛みがあるが歩けるのと、腫れがそこまで酷くないので、折れてはいないと自己判断していました。
小指の状態を診ると、確かにそこまで腫れていないのと、変形も見受けられませんでした。
しかし、部分的に内出血が発症していたので、そこの内出血が気になり、固定の処置をして、念のため整形外科の受診を勧めました。
翌日に整形外科に受診しレントゲンを撮ったら、結果は骨折でした。
念のためでも必ず整形外科の受診を勧めたので、骨折と聞いて本人はとても驚きながら診断結果を報告に来て頂きました。
正確な診断が下ったことで、正確な処置と早期回復が実現しました。
10代女性
チアリーディングをしている中学生が、チアの演技でバク転をしないといけなくなり、その練習の際で着手の際に突き指を引き起こしてしまいました。
指を見ると第二関節の腫れが大きく、そこに内出血が広がっていました。
これは、掌側板の骨折を引き起こしていると判断しました。
掌側板をしっかり固定し、圧迫を加えて、腫れと内出血を早く取る処置をしました。
掌側版の処置をいち早く行った結果、無事大会に出場することができました。
40代女性
バレーボールでレシーブした際に、親指が強く反る状態になってしまいました。
親指の打撲と過度に伸展していまい、親指の硝子軟骨を損傷している状態でした。
この方は、バレーボールの早期復帰を希望していましたが、硝子軟骨の損傷は腫れの引きが悪いのと、指の可動域の回復がとても悪いので、そこをしっかり伝えて施術させてもらいました。
3か月後には、親指が正常な状態に回復しました。